幸福の定義

ある日,お昼に行く道すがら,Y老師が「近々,小Pにいいニュースがあるよ」と言った.
「なに?結婚のこと?」
「結婚じゃないよ」
「なんだろう…あっ!もしかしてFacultyのポストが決まったの!?」
「Facultyなんかよりずっといいニュースだよ。でも小Pが自分で言うまでは言わないでおく」
「ふ〜ん」



夕方になって,いつものキャンパスを散歩.毎日300kcal余分に消費すれば,寿命が1.3年伸びるとY老師が言う.わたしは「それはおかしい.スポーツ選手が飛びぬけて長寿でもないのに」と言った.
「彼らはその分食べたり飲んだりしてるから,チャラになってるのさ」
「そうかなぁ?でも,人生で大事なのは長く生きることじゃなくて,楽しく生きることでしょ」「楽しく生きられれば,病気でも幸せでいられるかもしれない」
「病気は痛みを伴うからね」とY老師は言った.「幸せになるのは簡単なことだよ.健康でいるのは難しい」
それで,わたしたちは結局どちらが人生において大事か,(300kcal消費すれば寿命が延びる真偽についても)わからないまま,話しを変えた.



今朝,小Pがラボに来るなり,
「俺は今月の終わりまでラボにいるけど,それから場所を移ることにしたんだ」
と言った.わたしは,ますます,どこか別の大学にポストを用意されてるんじゃないかと思って,続きを待った.
「financial companyで働くことにしたんだ」
と,小Pは言った.「今のポスドクの就職状況は厳しいし,俺は安定した生活をとるよ.この選択を決断するのには悩んだけど」


わたしはちょっと面喰った.これが,Y老師の言っていた「Facultyにポストが決まるよりいいニュース」なのか?もちろん,異なる価値観を同じ尺度では測れないけれど.


明日はASでEPMA用サンプルの確認.
春は目の前.